軍用ペトロマックス灯油漏れをリペアする①:各部品解説とグラファイトパッキンの入手先情報編
このところキャンプに行くごと
メンテが必要な道具の存在に気付いて
キャンプの後は必ず自宅で修繕するのが
まるでお約束のようになっていますが
またも同じ轍を踏んでしまいました

ペトロマックス HK250
古い軍用のケロシンランタンです
これを入手したのは2011年で
東日本大震災が起きた年でしたから
もう8年も前のことになります

このランタン ホワイトガソリンでも運用できるらしいのですが
我が家では灯油のみ
ケロシンランタンとしてしか使っていません

しかし 同じケロ灯であるコールマン 639C700と比べると
運用の難易度は明らかに高く またメンテの頻度も
コールマンよりペトロマックスのほうが多めです

気を抜くとすぐに炎上しますし かといって気難しい割に
まったく把握できなかったタイミングで不調に陥ったあと
しばらく放っておくと 再び息を吹き返して元に戻る…
なんてこともありました
ペトロマックスの加圧式ランタンによく言われることですが
私のHK250も やっぱりじゃじゃ馬だと思います
ま 過激な性質の機械物は嫌いじゃありませんからね

Kawasaki 750 H2 / jano2106 こんなのも大好きです
先月末の運用は その前がいつだったのか
思い出せないくらい放置したあとだったのですが
何年かぶりで ひさびさに運用したのに
ともるだけならまったく問題は起こりませんでした

しかし今回は 過去の恵まれたケースのような
甘い状況ではなくて…
不調の原因がパーツの摩耗限界によるのであれば
どんなに放置しても 自然に本調子に戻る奇跡など
起きるはずはありません


9月末のキャンプで 点灯はしましたが
グリップホイールの根元から ポタポタと灯油が垂れてきました

この現象は グラファイトパッキンの摩耗限界…
鉛製のシールが逝ってしまったことを示します
ここで用語を解説しておきます
まず グリップホイールとはこれのことです

灯油とエア混合気の噴出量を
このホイールを回すことで調整します
グリップホイールの外周の突起 = 矢印の刻印を
真下にくるよう回すと 混合気の噴出が止まります

そのグリップホイールの中心軸がエキセントリックシャフト
グリップホイールでエキセントリックシャフトを回転させると
ランタンのジェネレーター内部のロッドが上下して
ジェネレーター上端のニップル部からの混合気噴出量を
制御する仕組みになっています

そして上の画で グリップホイールの左がわ
シャフトを覆う金色のナットがキャップナット
その内側は加圧されたエアと灯油が通るのですが
キャップナットとエキセントリックシャフトの間で
気密を保持しエアや灯油が外部に漏れないようにするシーラーが
グラファイトパッキンです
これはコールマンのランタン用 ペトロマックス用とはサイズが異なります
ペトロマックス製ランタンの各部名称図がありましたので
こちらでも図解します

これは全体図で 厳密には私のHK250ではなく
現在市販されているHK500やHK150のものですが
速熱器(90、220~224番)の有無しか違いはありません
軽く50年以上もの間 ほとんどその基本設計が
変わっていないということです
そして今回のリペアに関連する
主要部品の詳細が↓こちら

赤で囲った部分が114番 ホールエキセントリック
燃焼を制御する重要な部分です

拡大したこの図の108番がグラファイトパッキンですが
実は数年前までは ペトロマックス用のこのパーツ単体を
国内で探すのは 難しい状況にありました
「ペトロマックス グラファイトパッキン 交換」などでググると
2012年頃は適合するパッキンが見つからず
水道用を流用した方もいらっしゃるのですが
いまは便利になりました

こちらのショップから取り寄せることが可能なのです
Old and tools という九州のショップで
古い火器の本体や消耗品を取り扱っており
もちろんペトロマックスに適合するグラファイトパッキンも
用意があります

私はOld and toolsのショップHPを知らずに
同ショップのネットオークションブースから取り寄せました
オークション経由で入手した場合の発送は
定形外郵便かクリックポストなので 送料は安いのですが
関東への配送は3~4日ほどの時間を要します
お急ぎの方は ショップHPのデフォルト配送は佐川便ですから
そちらのほうが早く手に入るはずです 高くはなりますけど…

定形外郵便ですが緩衝材にしっかり収められてます
また今回の作業は 灯油が漏れ出す可能性も考えられるので…

念のためステンレスのバットを用意しました
ダイソーの200円商品です

HK250を置いたらバットが小さい気がしましたが
何もないよりは… たぶんマシでしょう
ではメンテ開始

まずタンク内をきっちりと減圧します

プレッシャーゲージの圧力調整スクリューを全開まで緩め
そのまま2~3分放置して しっかりエアの圧を抜いておきます
高地のキャンプ場で運用し減圧せずに
パッキン部の気密を解いてしまうと
気圧差で灯油が噴き出す危険性も否定てきません
次にグラファイトパッキンを緩衝材から開梱します

作業直前まで最終的に開梱しなかったのは
このパーツが鉛を主材料としているからです
やわらかいので 不用意に踏みつけてしまえば
簡単に変形してしまいますから

980円で3つ入ってます
今回1つ使っても2つ余るので しばらくは大丈夫でしょう
次にホールエキセントリックの分解です

今回はウォーターレンチでキャップナットを緩めました
ちなみに今年の7月に コールマン639C700 の
ジェネレーターを交換しましたが あの時のインチ規格の工具…

インド製のスパナはペトロマックスには使えません
コールマンは米製でインチ規格ですが
ペトロマックスはドイツ製ですからね

順序が逆だったか…
先にキャップナットを緩めてしまいましたが
グリップホイールを先に外すべきでした
グリスか摩耗した形跡か 灰色の部分が見えてます

プライヤーでナットを緩めて
グリップホイールをはずします

続いてキャップナットをはずしたところで
さきほど先行してキャップナットを緩めた時に見つけた銀色に
不調の原因の確信を持ちました

やはりジェネレーターがわのネジ山に
古いグラファイトパッキンの鉛が摩耗したものが
こびり付いてる模様です
グラファイトパッキンの交換まで 手間がかかるかもしれません

はずしたキャップナットの年季の入り方に
少しだけ嫌な予感とやり甲斐を感じつつ
裏返すと…
長くなるので次回に続きます
なお ペトロマックスの同じ部位の灯油漏れで悩んでいる方で
こまごまと分解してパーツ交換する時間など持てない場合…

ホールエキセントリックをまるごと交換する方法もあります

この図のすべてがオールインワンパッケージらしいです
時間がないけど自分でメンテしたい方には
こっちのほうがオススメかもしれません
ペトロマックスHK250 グラファイトパッキン交換 ↓第二編はこちら
軍用ペトロマックス灯油漏れをリペアする②
: 新品グラファイトパッキンのタテが高杉くん? 編
ペトロマックスHK250 グラファイトパッキン交換 ↓第三編はこちら
直ったがやっちゃってるかもしれない件
:軍用ペトロマックス灯油漏れリペア③
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アフターサービス
すごいなあ
アフターサービスというか
補修部品がそろっているとは
この記事も優良な情報と思います
アフターサービスというか
補修部品がそろっているとは
この記事も優良な情報と思います
No title
オールインワンの方を使ってしまうかもです、うーむ、ケロシンランタン欲しくなります~(^o^)丿
※その前に持っているガソリンランタンの修理をしないとですが・・・
※その前に持っているガソリンランタンの修理をしないとですが・・・
こんにちは
難しいですね(^^;)
だんだんちんぷんかんぷん。
オイルが漏れるところまでは理解できるけど、その原因を見つけるのはやっぱり構造をしっかり分かってないと出来ませんね。
私には難しい代物だわ。
でも、入手し辛かった部品が楽に入手出来るようになったのは、やっぱりアウトドアブームがあり需要があるからかな。
駐車場問題、凄いことになってます。
なんでそこまでするのかなぁ・・・って。
これからココに住むならある程度譲歩しなきゃシコリが残りますよね。
なんでそんな事も分からないのかな・・・
だんだんちんぷんかんぷん。
オイルが漏れるところまでは理解できるけど、その原因を見つけるのはやっぱり構造をしっかり分かってないと出来ませんね。
私には難しい代物だわ。
でも、入手し辛かった部品が楽に入手出来るようになったのは、やっぱりアウトドアブームがあり需要があるからかな。
駐車場問題、凄いことになってます。
なんでそこまでするのかなぁ・・・って。
これからココに住むならある程度譲歩しなきゃシコリが残りますよね。
なんでそんな事も分からないのかな・・・
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